図説 日本の植生


 図説 日本の植生


 著者 沼田眞/岩瀬徹
 発行 講談社(2002/02)
 ¥1,155



一般的に気候帯に対応し水平や垂直に分布し相観で分けられる樹林帯(亜熱帯多雨林、常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、常緑針葉樹林など)の植生や、火山、湿原、海岸林などの立地的環境はもちろんの事、畑、水田、人里植物、帰化植物干拓地、都市の緑とあらゆる植生について解説する。1975年の底本から、修正・加除がなされている他、取り上げた事例の現状が大きく変わったり新たな見解が生じたりしているものは〔note-2001〕として補注を入れてある。



250点に及ぶ写真・図表を駆使して解説しているがカラーでないのが残念。また植物種名や群落名がどんどん出てくるので、ある程度植生を知っている必要がある。



植生帯は暖かさの指数、寒さの指数による積算温度でおおむね分けられる事や、照葉樹林は日本では普通に見られる植生だが世界的にはあまり例が無く、日本はその一つの本場であるという事、オオバコ・クサイなどの人里植物は踏み付け圧に強い他、固められて通気の悪い土壌でも種子が発芽しやすい性質を持つ…など、基本的なことを再認識するためにも良いだろう。



また、単に規模の大きな極相林を最高の価値と判断するのは問題とし、人の手が加わる事でもたらされてきた植生を積極的に評価し、その維持を推奨しているところも好感が持てた。