白根火山


 著者 下谷昌幸
 発行 上毛新聞出版局(1986/09)
 ¥1,575


当時嬬恋高校の教師であった下谷昌幸さんは地元の熱心な方々と白根火山研究班を結成。特に白根火山の湯釜の水温の変化と火山活動の関係を観測しようと、文部省の科学研究費を申請すること3年、ついに審査は通らず、翌年トヨタ財団の研究公募を知り、応募すると同じ申請で文部省の20倍の助成金を受けることができた。いよいよ調査にかかる。

トヨタ財団 研究助成プログラム
http://toyotafound.or.jp/kenkyujosei.html

「57年の噴火(噴火マグニチュード2.7)では一週間後に湯釜へボートを乗り入れ、湖底を調査。7mの高さまで高温蒸気を噴き上げていることを確認。これは地上だと500m以上の高さまで蒸気を噴き上げていることになる。これは浅間山三原山の噴火の時、噴火口上にヘリコプターで留まっているようなものだ。水深30mという水圧が高温蒸気を抑えていたのだが、その真上でゴムボートを浮かべて半日ものんびり観測するなどということは何も知らない素人だからできたことであり、火山の知識が少しでもあればこんな危険なことはとてもできなかった。科学者とは違った、素人でなければわからない、素人の目を通しての観察記録がとれたと思っている。」

内容は幅広く、野反湖や米子硫黄鉱山の話まで出てくるからビックリである。明治30年に火口壁にトンネルを掘って水を流し出した話、昭和28年の台風13号では湯釜がいっぱいになって涸釜とつながってしまい、当時の湯釜内にあった硫黄鉱山は水が引くまでに1年も休山した話、いろいろあった。

白根山でインタープリテーションする方、ぜひ読んでおいてください。