緑のダム


緑のダム―森林・河川・水循環・防災


編集 蔵治光一郎、保屋野初子
発行 築地書館(2004/12)
¥2,730



情緒的に語られている「緑のダム」という言葉。これを第一線の研究者・行政担当者・住民・ジャーナリストが科学的に検証する一冊。この分野の専門用語や専門データに慣れていない僕にとっては読みづらい本だった。半分も理解できていないのだが、元々僕は2001年の水害をきっかけに自然啓蒙活動をおこなっている人間。無理して読んでみた。



僕はダム反対派なのだが、実際には森林の「緑のダム」機能に期待しすぎだという事は良く解った。森林の蒸散や遮断蒸発による大量の水消費、森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが大洪水においては顕著な効果は期待できない事。また実際の森林の中は、間伐の遅れから人工林内は暗く地表面はむき出しになりもはや健全な浸透能は有していない事実…。



いうまでもなく森林は生物多様性に富み、水源涵養、二酸化炭素固定、保健休養、大気浄化や土壌保全などその恩恵は計り知れない・・・のだが、科学よりもイメージ先行となってしまっている現代の風潮を理解した。