沈黙の春


沈黙の春


著者 レイチェル・カーソン
(翻訳)青樹 簗一
新潮社 改版版 (1974/02)
394p
¥660



レイチェル・カーソン氏1962年発表の本書は農薬などの化学薬品による自然破壊に警告を発した先駆書としてあまりにも有名。四十数年を経た今も衝撃的である。恥ずかしながら僕は今日、やっと読み終えた。



子供の頃、北海道の原生林で勝手に遊んで育った。木登りは一番上手だった。深い沢をまたぐ大きな倒木の上はスキップして歩いた。キノコや山菜を見つけるのが誰よりも早かった。でも人工物を使う学校の競技はてんでダメだった。人を負かすことも嫌いだった。



そんな自然児はやがて青年期でこう言った事もあった。



「地球はもう持たないよ。人間は滅ぶなあ。俺たちはやりすぎてしまったんだよ。許される訳が無いよ。」



現代の若者に対して“無気力”“覇気が無い”“根気が無い”などとよく言われるが、逆に若者の根底には「人間がこれ以上生きて活動してどうしようというのだ。」という思想も一部流れている。私もそんな時期があったから。人の営みとはこの地球にとってはあまりにもエゴく、傲慢極まりないものであると認識していたから。



でも何かのきっかけで誰もが気づく。「ああ、それでも、五体満足な自分は強く生きて生きて生き抜くのだ。そうでないと申し訳がたたない」と。



だから、僕より年上の皆さん覚悟しておいてください。地球に、自然に負担をかけてきた人生の年数だけ、その恩返しをしていただきます。ネイチャー木村は決して甘くはありません(笑)。日本人の美意識の象徴である完全自己完結型循環社会を目指しています。それこそが美の最終的な形なのです。